04)ヴィレッジ
『ヴィレッジ』 (2004年 米)
M・ナイト・シャマラン監督のミステリー? ロマンス? どちらとも取れない微妙なテーマのおとぎ話。
物語は忌まわしき森に囲まれ外界から隔絶された小さな村が舞台。 村人たちは森に棲むと言われている「何か」を恐れ、自分たちの世界だけで慎ましく生活していたのだが・・・
公開当時そのプロットが、過去の某小説のパクリだとか、結末がとある映画に酷似しているだとか、結構話題になっていた記憶があるが、元ネタを知らなかったのでそれなりに楽しめた。
シャマラン監督の映画は、映画をものすごく観ている人にはあまり評価されていない気がする。私は割と好きなんだけど。
もちろんシャマラン映画お決まりの”オチ”もちゃんと用意されている。終盤に向かっていくつかの伏線が回収されていく展開。
ただし、『シックス・センス』ほどのインパクトはなくやや地味な印象。なるほど、主人公のアイヴィーが盲目というのもちゃんと意味があったわけだ・・・。
映像はシャマラン監督独特のカメラワークや村の田園風景、古き良き時代の建物・小物の描写など解像感がとても美しい。シャマラン監督が作り上げる映像はとにかく細部まで綺麗なんだよなぁ。ストーリーとは関係なく。
私もその昔映画監督になりたい! とちょっと思っていた時期があったけど、「こんな”絵”を撮ってみたかった」と思わせる映像美は一見の価値あり。
赤や黄色などのビビットな色の使い方も俊逸だ。特に赤は「森にいる何か」の象徴として使われていて印象深い演出が施されている。
『シックス・センス』や『サイン』でも多用されていたが、通常そこには存在しえない「何か」が意外と明るい場面に一瞬だけ写って、「えっ!今の何?」と思わせる撮り方が実にうまい。このゾクゾク感がたまらない。
ウィリアム・ハート、シガニー・ウィーバーなどのベテラン俳優の競演もさることながら、エイドリアン・ブロディが知的障害のある若者(本作のキーマン)を繊細に演じていて最も印象に残った。
先日、偶然にも彼が屈強な傭兵役を演じた『プレデターズ』を先に観ていたが、とても同一人物とは思えない。 いい役者だ。
実は彼がオスカーを獲得した『戦場のピアニスト』は未見なので、ぜひ観てみたいと思った次第。
“どんでん返し”だけを期待されると少々キツイ作品だが、「人間にとって本当の幸福とは?」「愛する者のために何ができる?」 などのメッセージ性が感じられ、ミステリーというよりもヒューマンドラマとしてアリだと思った。
私的評価:★★★★☆