02)ボーイズ・ドント・クライ
『ボーイズ・ドント・クライ』 (1999年 米)
ヒラリー・スワンクがこの年のアカデミー賞、主演女優賞を獲得した問題作。
何とも後味の悪い映画だ。後味の悪さでは同じくスワンクが女優賞に輝いた、『ミリオンダラー・ベイビー』の上を行く。
全編に漂う息が詰まるほどの閉塞感。本来なら美しいはず(想像)のネブラスカ州の情景などはほとんど見ることができない。
スワンクが身体は女、心は男…”性同一性障害”という難しい役柄を見事に演じきり、数々の映画賞を総なめにした…のはまま納得できるが、”性同一性障害”というのはあくまでこの映画の一つの要素でしかなく、あまり深く掘り下げられてはいない。
この映画の本質は別のところにある気がする。
「アメリカの田舎町の若者の典型って、こんななの?」と疑問に思うくらい、とにかく共感できるキャラクターが誰一人として登場しない。
単なる「片時もタバコや酒を離すことができない前科者の暴走劇」としてしまっては少々乱暴か。
とにかく保守的で暴力的。舞台の街、人間の不寛容さに吐き気すら覚える。
ストーリーは実話(スワンクの役、ティーナ・ブランドンも実在の人物)を下敷きにしているというが、果たしてどこまでのエピソードが実際に起きたことなのだろう…?
あまり気が滅入っているときの鑑賞はオススメできない。 私自身も二度目は観る気が起きない映画である。
私的評価:★★☆☆☆