映画鑑賞備忘録

突然ですが、最近は映画館に行ける余裕もあまりなく... 主にTVで観た旧作映画の感想など思うがままに書き綴っています...。

12)ユナイテッド -ミュンヘンの悲劇-

ユナイテッド -ミュンヘンの悲劇- (2011年 英)

 
サッカー好き、とりわけ欧州サッカーを普段からウォッチしてる人なら聞いたことくらいはあるだろう。1958年、マンチェスター・ユナイテッドFCに実際に降りかかった「ミュンヘンの悲劇」を描いた作品。
 
これはサッカー好きとしては避けて通れないと思い立ち鑑賞したが、かくゆう私も、かつて「ミュンヘンの悲劇」と呼ばれる飛行機事故があって..マンUの現役選手が8人も死んじゃって..くらいの断片的な知識はあったものの、詳しいことはあまり知らなかった。
 
ミュンヘンの悲劇の詳細はミュンヘンの悲劇 - Wikipediaにでも譲るとして、本作では事故において奇跡的に生き残り、後にイングランドを代表するサッカーレジェンドとなったボビー・チャールトンと当時のウェールズ人コーチ、ジミー・マーフィーの視点よって描かれる。
 
冒頭、雪のちらつくミュンヘンの空港での飛行機事故直後、座席ごと機外に放り出されたボビー・チャールトンが目を覚ます衝撃のシーンから物語は始まる。その後シーンはボビーがユナイテッドに入団した頃の過去へ飛び、事故前後の状況、そして事故後のチームの再生までが順序良く描かれる。
人物や感情表現などはあまり深くは描かれず事実をただ淡々と描写していく様は、若干映画的な盛り上がりには欠けるものの、よりリアルさを追求するための演出とも言える。 事実、終始ドキュメンタリーを見ているような感覚であった。
 
サッカードラマとしてはお決まりの試合シーンも一切描かれず、そのあたりは観客の想像に任せる手法が取られている。(試合シーンの撮影はお金がかかる、臨場感を出すのが難しい、といった事情もあるかもしれないが)
スポーツ映画特有のカタルシスを求めている向きにはあまりお薦めできないかもしれない。
ただこの映画はまごうことなき史実であり、全てのフットボールファンには悲劇を知っておく必要があると思う。
 
私はユナイテッドが来日した折、帯同していたサー・ボビー御大を日産スタジアムのスタンドの上の方から見かけたことがあるが... ボビー爺、こんな壮絶な体験をお持ちだったのですね。あの小さな背中に想像を絶する葛藤やトラウマを長きにわたり受け止めてきてたのかと思うと、なんだか無性に泣けてきた。
 
私的評価:★★★☆☆