映画鑑賞備忘録

突然ですが、最近は映画館に行ける余裕もあまりなく... 主にTVで観た旧作映画の感想など思うがままに書き綴っています...。

09)シンプル・プラン

シンプル・プラン』 (1998年 米)

死霊のはらわたスパイダーマンシリーズでお馴染みのサム・ライミが監督して、ジェームズ・キャメロン作品に脇役出演の多いビル・パクストンを主役に据えた異色のサスペンス作品。

大金を前にすると、かくも人間は愚かになってしまうのか...? 
舞台は雪深いアメリカの片田舎。貧乏ながらも慎ましく暮らしているハンク(ビル・パクストン)は、森の中に墜落した自家用飛行機の中から現金440万ドルを発見する。この大金が自分達の未来を変えてくれると信じた彼は、妻のサラ(ブリジット・フォンダ)、どん底の暮らしを送る兄のジェイコブ(ビリー・ボブ・ソーントン)らと共に、大金を自分達の物にするための“シンプルな”計画を実行に移すが・・・。
 
少し頭の弱い兄ジェイコブや悪友のルーに振り回されていたハンクであったが、嘘や犯罪を取り繕っているうちに歯止めが効かなくなり、悪い方へ悪い方へと転がっていく様に恐怖すら覚える。
 
当初はお金をネコババすることに反対していたハンクだが、結局はそのお金のために殺人を重ねていくまでに変貌していく様子がシニカルに、そして時に緊張感たっぷりに描かれていく。
 
この映画の舞台を真冬の雪深い田舎町に設定したのは正解だ。本来であれば牧歌的であるはずの山や森や田園風景などが一面の雪に覆われることにより、主人公達のニッチもサッチもいかない心理状態により一層の閉塞感を醸し出すことに成功している。

そしてなんといっても、自分の中ではそれまでアンジェリーナ・ジョリーの元旦那という認識でしかなかったビリー・ボブ・ソーントンの存在を忘れてはならない。
決断力に乏しく頭は弱いが弟想いの優しい兄、ジェイコブを抑えの効いた演技で好演している。
物語の終盤で、自分達が犯してしまった罪への罪悪感にさいなまれる様子や、最後の"決断"に至るまでの喪失感をたたえた表情が素晴らしい。
 
amazonなどでは、「ファーゴ」にストーリー設定/展開が似ているとのレビューが散見されるが、実はその「ファーゴ」も観たことはない。これは是非そっちも観てみないと!
 
私的評価:★★★★☆
 
シンプル・プラン [DVD]

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