映画鑑賞備忘録

突然ですが、最近は映画館に行ける余裕もあまりなく... 主にTVで観た旧作映画の感想など思うがままに書き綴っています...。

52)ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ

ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ (1999年 独・米・仏・キューバ合作)

アメリカ人ギターリストのライ・クーダーが、中米キューバの忘れ去られていた老ミュージシャンたちを集めて制作した同名アルバムの映像化作品。
監督は、『パリ、テキサス』などで知られるドイツの名伯楽、ヴィム・ヴェンダース
肩の力が抜けたご機嫌なキューバ音楽を存分に堪能できるドキュメンタリー映画だ。

 

内容としては、キューバ・ミュージシャンたちの世界ツアーでのライブ、レコーディング風景を主軸に展開していく。(オランダ、アムステルダムでのライブで始まり、終盤ではなんとニューヨーク、カーネギーホールでの映像も収録)
そのあいだあいだにミュージシャン一人一人にスポットを当て、地元ハバナでの日常や自らの生い立ち/音楽歴など、インタビュー形式の独白が挟まりながら進行していく形式。

 

道路際の海岸線に打ち寄せるカリブの白い波しぶきと街中をゆっくりと流す年代物のクラシック・カー... キューバハバナの街並みは、行ったことがないのにもかかわらずどこか懐かしく感じる。
それらのノスタルジー溢れる背景描写と、時には力強く、時には優しく奏でられるキューバ音楽との絶妙な乾いた空気感が、とにかく心地いい映画だ。

 

90歳代を最高齢としたキューバの音楽小僧たちは、皆それぞれに個性的で楽しい。ここでは60歳くらいでは若手扱いだ。慎ましくも実にたくましく、まさに人生を謳歌している連中だ。
作中でライ・クーダーの息子が語った台詞「何気なく地味だがとても力強い」が彼らをうまく形容している。

 

最近ローリング・ストーンズのライブドキュメンタリー『シャイン・ア・ライト(2008年 米 監督:マーティン・スコセッシ)』も観たばかりで、あちらも最高にカッコいいジジイたちのゴキゲンな映画だったが、本作も違った意味でカッコいい爺さんたちに出会える。そして最高に"癒される"映画でもある。難しいことは抜きにして、とにかくこの情景と音楽に身を委ねたい。

 

私的評価:★★★★★

 

ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ  Film Telecine Version [DVD]