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映画鑑賞備忘録

突然ですが、最近は映画館に行ける余裕もあまりなく... 主にTVで観た旧作映画の感想など思うがままに書き綴っています...。

47)インターステラー

インターステラー (2014年 米・英)

クリストファー・ノーラン監督、マシュー・マコノヒー主演によるSF大作。
近未来、環境汚染によって地球に住めなくなってしまった人類の存亡をかけた、恒星間(インターステラー)探査に挑む人々の物語。

 

自称"宇宙好き"のワタシにとってかなり期待していた作品であり、劇場公開時に観に行きたいと思っていながら、ついぞ観られなかった本作を遅ればせながら鑑賞した。
一般相対性理論」「事象の地平線」「特異点」といった、天文(物理?)学の専門用語が平然と飛び交うハードSFである。
ブラックホール理論の世界的権威である物理学者のキップ・ソーン氏が監修をしているという宇宙空間の描写や数々の天体の映像美は一見の価値あり。

ワームホール内部の様子や間近に迫るブラックホールの美しい地平面など、これまでのどのSF映画でも見たことのないリアルな光景にため息。宇宙好きならこれだけでご飯三杯はいけそうだ。

 

取っ掛かりはハードSFでも、途中マット・デイモン演じるマン博士の暴走によって引き起こされるハラハラドキドキシーンや、文字通り"時空"を超えた親子愛物語なども盛り込まれ、エンタメ映画としても見どころは多い。

 

ハリウッドのSF映画というと、宇宙船や機器・デバイス類がきらびやかだったりするのが定石だが、どちらかというとリアリティー追求型のノーラン監督だけあって、未来チックな"仕掛け"はやや控えめに作られている。
というか、むしろそれらセットや小道具の類が最新のSF映画としては、少々古臭い印象すら受ける。

中でもただの直方体をつなぎ合わせたかのようなAIロボット、「TARS」や「CASE」のコレジャナイ感がすごい(ほめ言葉)。
SFに登場するロボットといえば、目新しさやギミックに目が行きがちだが、あえてこのような造形にした制作陣に拍手を送りたい。
最初は単なるモノリス板にしか見えなかった「TARS」「CASE」だが、冒険の合間合間に挟まれるクルーたちとの軽口の言い合いを経て、終盤にはまるで人格を有する知的生物のように見えてくるから不思議だ。

本作の全体の雰囲気は、名作『2001年 宇宙の旅』をかなり意識していると思われる。ただ、「TARS」と「CASE」は「HAL9000」とは違い、最後まで人間を裏切らないナイスガイだが。

 

また、ノーラン映画ではお馴染みのハンス・ジマーによるスコアや音響効果も素晴らしい。
緊張の高まるようなシーンでは、同じフレーズの執拗なリフレインで危機感を煽る一方で、宇宙空間での効果音はあえて"無音"を多用する、といった動・静の対比に感心。深宇宙での静寂感や孤立感を音楽が一層引き立たせている。


特に、物語後半でマン博士が探査艇で逃げ母船に近づくドキドキシーンではリフレインで緊張感を高め、母船と接続不良にも関わらずハッチを開けようとして減圧→連結部分が吹き飛ぶ瞬間の描写が無音という印象的なシーンがある。
音は真空では伝わず宇宙空間での爆発などは実際は音がしない、という演出を見事に実践。

確か『ゼロ・グラビティ』でも似たような無音衝突のシーンがあるが、この音もなく宇宙船が破壊されていく描写は本当に怖い。

 

この映画、ラストが特に難解(というか、びっくり展開?)で、一見ハードSFらしからぬ非科学的にも見えるオチに賛否両論があるのも頷ける。
ただ、そこは極めて人間的というか、やや宗教的な解釈になっているところにノーラン監督の本当の狙いがあるのだろう。結局のところ、この映画はハードSFの体をなす人間賛歌ドラマなのだ。

 

私的評価:★★★★★