読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

映画鑑賞備忘録

突然ですが、最近は映画館に行ける余裕もあまりなく... 主にTVで観た旧作映画の感想など思うがままに書き綴っています...。

44)東京上空いらっしゃいませ

cinema

東京上空いらっしゃいませ  (1990年 日本)

牧瀬里穂中井貴一が出演する、今は亡き相米慎二監督作品。相米監督と言えば、『セーラー服と機関銃』『ションベン・ライダー』『雪の断章』など、当時劇場に足を運んだ作品は数知れず。

特別好きだったというわけではないが、80年代から90年代にかけて、演技に不慣れなアイドル女優たちをうまく料理してくれる作品が多く、興味をそそられた監督である。

 

本作は劇場でこそ観ていないが、相当昔にビデオで一度観ていて、先日BSプレミアムの番組表で見つけて、あまりの懐かしさに即録画予約した。

デビュー間もない牧瀬里穂がとにかく初々しい。拙いセリフ回しやちょっとヤケクソ気味の演技は多少鼻につくものの、その清々しさ、溌剌さで何だか許せてしまう。

 

ストーリーとしては、タレントとして売り出し中だったユウ(牧瀬里穂)が不慮の事故で死んでしまうが、自分の死を受け入れられず、天使のコオロギ(笑福亭鶴瓶・二役)を騙して、自分の姿で舞い戻ってくる、というゴースト・ファンタジー。

ファンタジーという特性ゆえか、相米監督お得意の「長回し」撮影はこの作品においてはやや控えめな気がするが、それでも遠くから時間をかけてゆっくりと人物にズームしていくカットや、カメラを固定しておいて画面の外側から突然割り込んでくる人物など、その独特な映像手法は健在だ。

 

さらに音楽面で言うと、この映画は井上陽水忌野清志郎の共作による名曲「帰れない二人」なしには語れない。

歌い手を変えた様々なバージョンが、何度も印象的なシーンで流れてくる。憂歌団のヴォーカルの人や加藤登紀子のバージョンが流れたりするので、気を緩めないように(笑)。

中でも、ラスト近くのジャズ・バーで、中井貴一が吹くトロンボーンに合わせて牧瀬が「帰れない二人」を歌い、そして踊るシーンは本作のクライマックスだ。

この世との別れを決意し、悲壮感や切迫感といった様々な感情を開放していく二人の「帰れない二人」が心地よい。
内容的にはかなり切ないお話なのだが、鑑賞後は爽やかな気分になれる、そんな映画だ。

 

最後に、もう25年以上前の映画だから仕方ないのかもしれないが、相米監督はもとより、出門英谷啓、おヒョイさん..など、既に他界された方が何人か出演していて、別の意味で感慨深かった。

 

私的評価:★★★☆☆

 

東京上空いらっしゃいませ [DVD]

東京上空いらっしゃいませ [DVD]