20)インビクタス/負けざる者たち
インビクタス/負けざる者たち (2009年 米)
ネルソン・マンデラが同国初の黒人大統領に就任するところから物語は始まる。
アパルトヘイトは撤廃されたものの、依然として人種的に分断され貧困にあえぐ南アフリカが、1995年に同国で開催されたラグビーのワールドカップを通じて、国全体が盛り上がりを見せ、国民が徐々に一体感を醸成していく過程が描かれる実話である。
なるほど。新体制となった南アフリカはこうして再生したのか...ということがスポーツ映画という一級のエンターテイメントの力を借りてよく理解できる。
1995年のラグビーW杯と言えば、日本人目線だと、ニュージーランド・オールブラックスに日本代表が100点差以上という1試合の最多得失点差記録を作られ惨敗した... という負のイメージしかなかったが、(本作の中でも1シーンで言及あり)地元ではこんなドラマが展開されていたのですね。恥ずかしながらこの映画を見て初めて知った次第。
弱小チームが不屈の精神を持って強い相手に打ち勝っていく... フィクションならば使い古されたモチーフだが、実話であるが故に妙に説得力があり陳腐さは感じられない。
南アフリカやアパルトヘイトを背景としているものの、政治的なメッセージだけの一面的な内容とせずに、うまくラグビーのW杯をからめ、映画的カタルシスを味わうことができる魅力的な脚本として仕立てられていて非常に興味深い作品である。
監督は大御所、クリント・イーストウッド。彼の監督作品は古くは『ファイヤーフォックス』あたりから、最近では『アメリカン・スナイパー』まで、結構観てきているが(もちろん未見の作品も多数あり)、イーストウッド映画では私的ベスト1にランクインするくらい、好きだなこの映画。
私的評価:★★★★★