08)グッド・ウィル・ハンティング /旅立ち
『グッド・ウィル・ハンティング /旅立ち』 (1997年 米)
舞台はマサチューセッツ州ボストン。その生い立ちの不遇からトラウマを抱える数学の天才青年ウィル・ハンティングと、愛する妻を早くに亡くし、いつ癒えるとも分からぬ傷を負った心理学者との心の交流を通じて、青年の成長を爽やかに描くヒューマンドラマである。
実はこの映画、公開当時に劇場で 鑑賞している。見に行くきっかけは何だったのかよく覚えてはいないが、多分他の映画を見た時の予告編などで惹かれたんだと思う。
その当時は、やたら台詞回しが説教じみてて… テンポが退屈で… などと正直あまりピンとこなかった。主役のウィルがそこまで偏屈になる背景がよく見えてこない上に、なんでそんな急に和解しちゃうのわけ!? なんて、かなり斜に構えて見ていた記憶がある。
先日テレビ放映されていたので、何年か振りに改めて鑑賞してみた。
この映画は対話のシーンが多くを占め、印象的な台詞回しがいくつもあるのだが、ショーンが亡き妻との"馴れ初め"をウィルに独白する場面。ロビン・ウィリアムスの情熱あふれる演技が素晴らしい。
ショーンが妻になる女性と初めて会った時に、友人と楽しみにしていたフェンウェイ・パークでのワールドシリーズ観戦をドタキャンしてまで、その女性と話し込んでしまったとの思い出話に、ウィルは、「何でレッドソックスのあの歴史的な試合のチケットを棒に振ることができるのか!?」と返すやりとりの中に、ウィルとショーンの心が通じた瞬間を見た。
またこの時、「一緒に試合を観に行くはずの友人には何て言って断ったんだ?」とのウィルの問い掛けに、ショーンは、「悪いけど、彼女がいるんで。」と答える。ラストシーンへ繋がる伏線にもなる重要な台詞だ。
「君の話すことは、全部本に書いてある。君から学ぶことは何もない。」などと時には突き放しつつ、ウィルとぶつかり合いながらも、徐々に心を通わせていく二人の静かな展開が好印象。
またウィルの親友役チャッキー(ベン・アフレック)の存在も忘れてはならない。
あまりにも友達想い過ぎてさすがにちょっとクサイ気がしなくもないが、「こんな親友やっぱりいいな」と思わせる演出には溜飲が下がる。
ラストにおいて、いつものように車でウィルを迎えに行った折、親友が既に旅に出掛けていたと分かったときの、一瞬寂しそう... でも、やっぱり嬉しそうなチャッキーの微笑みをたたえた表情が最高だ。
このベン・アフレックの笑顔の演技を見るだけでもこの映画を見る価値があると思った次第。
私的評価:★★★★☆