06)オーメン(2006年)
『オーメン』 (2006年 米)
言わずもがな、70年代に大ヒットしたリチャード・ドナー監督、グレゴリー・ペック主演の名作オカルト作品のリメイク。
小学生の頃だったと思うけど、この映画のオリジナル版をTVで見た時の衝撃は今でも忘れられない。
この映画のガラス板首ちょんぱシーンと『サスペリア』のエレベーターにネックレスが引っかかって・・・のシーンは私にとってトラウマとなり、その後しばらく 脳裏に焼き付いていた。
今思うと、私がこの手の映画が好きになるきっかけになった作品かもしれない。
リメイクというと大抵は新しい解釈が加わり、ストーリーが所々変更される…などが普通だが、この作品はオリジナルを忠実に再現することにとにかく腐心している。
物語の骨子、各エピソードなどほぼオリジナルと一緒だ。
ただまるっきり同じかというとそうでもなく、殺人シーンでは若干の変更があったりする。
悪魔の子、ダミアンが母親を階下に突き落とすときに利用するアイテムは、三輪車から現代風に(?)スケーターに変わっているし、件のカメラマンの首が飛ばされるシーンももちろんあるのだが、だいぶ省略され、凶器もオリジナルとは変わっていてちょっと物足りない。
超有名作品と言うことで、野暮なストーリーへの言及は止めにして、もうオリジナルとの比較に終始してみると...
ダミアン役の子役は、その表情、仕草などが明らかにオリジナルダミアンより怖い。というか単純に演技が上手いのだろう。
オリジナルのダミアン君は多少可愛げがあり、それが逆に一層の怖さを醸し出していた記憶があるが、2006年版のダミアン君はその存在がのっけから怖さ全開でくる。
一方、映画作品としては撮影技術が当然向上し、画質が明るく高精細になっていることも手伝ってか、主人公家族の邸宅など背景描写が普通にキレイだ。
それらの効果と引き換えに、オリジナルには感じられたゾーっとしたおどろおどろしさは半減し、恐怖映画感は薄まった印象だ。
こうして見てくると、オリジナル版オーメンをトレースしただけの駄作に聞こえるかもしれないが、決してそんなこともなく、2006年版オーメンもドキドキ感はかなりのもので、初見に近ければそれなりに楽しめるだろう。
ただし、オリジナル版に思い入れがある人ほど、なぜ今更こんなモノ作ったの?と疑問に思うかもしれない。