映画鑑賞備忘録

突然ですが、最近は映画館に行ける余裕もあまりなく... 主にTVで観た旧作映画の感想など思うがままに書き綴っています...。

35)マン・オブ・スティール

マン・オブ・スティール (2013年 米)


クリストファー・ノーラン制作、ザック・スナイダー監督による「スーパーマン」のリブート作品。
最近はこの備忘録もめっきりアクション映画づいているが、またしてもアクション・ヒーロー物で失礼。


私くらいの年代でスーパーマンと言えば、クリストファー・リーヴ主演によるスーパーマン旧4部作をまず思い浮かべるが、旧シリーズでは、小難しいことは置いておく、アメリカ映画らしい爽快なヒーロー描写で非常に娯楽性の高い佳作だったと記憶している。


バットマンのリブートシリーズを成功させたクリストファー・ノーランが関わっているということで、全体的なトーンはスーパーヒーロー物というよりも、人間ドラマに重きを置いた作りになっている。
宇宙人がゆえの特殊能力に対する苦悩や葛藤。地球上でどう生きていけばいいのか?を思い悩む姿が描かれ、そこにはいつまでも吹っ切ることができないクラーク・ケントがいる。前半のかなりの尺を使って自分探しの旅に出るクラーク。
よく言えば、リアル志向な大人の雰囲気。悪く言えば、暗くて爽快さがない感じ。


今作の敵はゾッド将軍ということで、正確には『スーパーマンⅡ 』 のリメイクということになりそうだが、このゾッド将軍もバックグランドがより丁寧に描かれていて、 旧作に比べて人間臭い。(宇宙人に対して人間臭い、という表現もアレだが...)
クリプトン人を絶滅させてはならないという信念に基づき彼なりの大義を掲げて戦っている。いわゆる「ガンダム」においてのジオン軍ですな、簡単に言えば。
そのような図式からも、絶対悪をコテンパンにやっつけるという勧善懲悪映画になりきれなかったのは必然と言えよう。


今回スーパーマン=クラーク・ケント役に抜擢されたのは、正統派イケメンの英国人俳優、ヘンリー・カヴィル
前述の通り、どこか物憂げな苦悩するスーパーマンをクールに演じている。いつにも増してマッチョな体つきのスーパーマンだが、より人間味あるキャラ設定のせいか、スーパーマンスーツを着ててもあまり強そうに見えないのが玉に瑕。


共演陣で目を引くのは、地球での育ての父・母にあたるケヴィン・コスナーダイアン・レイン
往年の人気俳優がおとん、おかん役で出て来る意外性は買うものの、クラークの成長への影響部分の描き方が薄っぺらく感じられ、ちょっと中途半端な印象であった。
他のレビューでは、この2人の演技を絶賛している意見もチラホラ見つけられるので、もしかしてTV放映にあたり、重要なシーンがカットされたりしてる??と訝ってしまった。
さらに、竜巻であっさり死んでしまうお父さん... 助けられないクラーク... これはいくらなんでも無理矢理な展開の気がしなくもない。


スタイリッシュな映像表現に定評のあるザック・スナイダーによる緻密に作りこまれたアクションシーンは確かに凄い。一見の価値あり。そのスピード感と底知れぬパワー描写にこだわった戦闘シーンも目を見張るものがある。文字通り桁違いのパワーで建物や街が破壊されていく様は圧巻のひと言。
ただ超人同士の対決ゆえに荒唐無稽過ぎて今ひとつ現実味がないというジレンマはある。こと戦闘シークエンスに関しては、よりリアリティーを目指したこの作品のテーマ性とは対照的であり、どことなくアニメーションを見ているように感じた。興奮度では今ひとつか。


旧シリーズほどの突き抜けたような爽快感は味わえないが、新しい解釈としてのスーパーマン物語に迫った意欲作なのは間違いないだろう。

 

私的評価:★★★☆☆

 

 

 

34)アンノウン

アンノウン (2011年 米・独) 

 

近年、『96時間』シリーズや『フライト・ゲーム』などで老練なアクション俳優としての地位を固めつつあるリーアム・ニーソン
本作はそんなリーアム・ニーソンの最近の流れを汲むようなサスペンス・アクション映画である。

 

学会で訪れたドイツのベルリンで不慮の事故に遭い、昏睡状態に陥るバイオ生物学者のマーティン・ハリス(リーアム・ニーソン)。
4日後に目覚めてみると、一緒にベルリンに来ていた妻は自分のことを忘れ、別の男が自分に成りすましていた上に何者かに命を狙われるという、とんでもない事態になっていた・・・。
なぜ5年も連れ添った妻が自分を知らないのか?自分に成りすましている男は誰なのか?なぜ命まで狙われるのか?そして、自分は本当は誰なのか?
いきなり謎だらけの大風呂敷を広げられて、一気に映画の中に引き込まれる。


異国の地において、誰も自分を知らない、証明する術もない、という恐怖から、先の見えないストーリーが展開されていく。

交通事故時に助けてもらったタクシードライバーの女性や元東ドイツ諜報部員の好々爺(この役はなんと名優、ブルーノ・ガンツ!)を味方につけながら、自分を取り戻すために奮闘するリーアム親父。
巧みに観客のミスリードを誘いつつ、合間合間に適度に盛り込まれるチェイス・アクションにハラハラ・ドキドキ。

正直地味なタイトルであり、劇場公開した際には全く知らなかった作品だったが、これは拾い物の予感。
結末はいわゆるどんでん返し系のカテゴリーに含まれると思うが、このオチは予想できなかった。
前半に広げられた風呂敷が、大きな破綻もなく後半に向けてきっちりたたまれていく納得の終盤。素直にうまい脚本だと思える。

 

ただし、見終わってよくよく考えてみると、似たようなプロットの映画をいくつか思い出すことができる。
マット・デイモン主演のあのシリーズとか、シュワルツネッガー主演のあの作品とか…。
さらに冷静に見返してみると、突っ込みどころやアラも垣間見えるが、リーアム・ニーソンのいかにも実直そうな親父キャラだからこその自然な演技で、まんまと騙されてしまう。

実生活おいて誰かに騙されるのは勘弁願いたいところだが、映画の中で騙されるのは大歓迎!
観終わった後に意外とスッキリする上質なサスペンス・アクション映画であった。
騙される爽快感を味わい人は是非。

 

私的評価:★★★★☆

 

アンノウン [DVD]

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33)パシフィック・リム

パシフィック・リム (2013年 米)

 

今年の3月くらいにフジテレビの地上波放送を録画したものを先日ようやく鑑賞。全然タイムリーでないことをまず初めにお断りしておく。

 

突如太平洋上に現れ暴れまくる巨大怪獣にイェーガーと呼ばれる人型の巨大ロポットで応戦する人々を描いたSF・アクション大作である。

観る前は当映画についての予備知識がほぼなく、ただのB級ロボット映画だろ..くらいにしか思っていなかったが、ごめんなさい。
色々と突っ込みどころはあるにせよ、ものすごい作品だった。想像以上に楽しめた2時間余りであり、期待してなかった分ちょっと得した気分になった。

 

本作は、ガメラウルトラマン、さらにはエヴァンゲリオンマジンガーZ等々..元ネタがいくつも思いつくほどに日本の"怪獣&スーパーロボット物"に影響されていると感じる。

ただ、日本でこれを実写映画として製作したらとんでもないモノが出来上がりそうであるが、そこはハリウッド。
CGを多用しても適度にリアリティーを醸し出しながら、大人の鑑賞に耐えうる見栄えのある映像に仕上がっている。
イェーガー(スーパーロボット)のリアリティーさや重厚感、戦闘時の挙動や音、敵である怪獣の造形など、子細に渡りよくできていると思う。

かなりの説得力を持って、画面いっぱいに怪獣vs巨大ロボの肉弾戦が展開される。これは映画館で観たかったな..と若干の後悔。

 

出演者は、本作のヒロインである菊地凛子以外は正直あまりピンとこない俳優陣であったが、ほとんど気にならないほどに主要キャスト各々のキャラが立っていて好印象。
主役は怪獣やロボットではなく、あくまで人間であることを強く印象づけることに成功している。

 

最後に蛇足だが...
フジの地上波放映にあたり、【芦田愛菜ハリウッドデビュー作!】という副題が付けられていて、彼女がどんな活躍をするのかと思いきや... 「えっ、これだけ!? これで芦田愛菜をフィーチャーするの?」という疑念しか湧いてこず、完全にチョイ役に留まる芦田愛菜のゴリ押しっぷりに、何か特別な事情⁇と勘ぐらずにはいられなかった。
菊地凛子に謝れ!」と思わず叫んでしまうほどであったと付け加えておく。

 

私的評価:★★★★☆

 

 

 

32)007 スカイフォール

007 スカイフォール (2012年 英・米)

007シリーズのいったい何作目なんだろう? 調べるのも面倒なくらい多く作られているので省略。
ただ、ダニエル・クレイグジェームズ・ボンドを演じ始めてからは3作目だそうだ。
実は昨年の年末に4作目(最新作)の『スペクター』を先に観ていたので、私が鑑賞したダニエル・クレイグ版007としては本作は通算2作目になる。

 

007シリーズは、特にロジャー・ムーア時代の作品は夢中になって観ていた記憶があるが、そこからティモシー・ダルトンを経て、ピアース・ブロスナンの頃の作品は確か2作品くらいしか観たことがないはず…。
ピアース・ブロスナンは、スッキリした長身で、ものすごくカッコいいんだけど、アクション俳優としての"キレ"は何だかイマイチな気がして、ブロスナン・ボンドは正直あまり印象に残っていなかった。
翻ってダニエル・クレイグだが、これまでの歴代ボンドとはややイメージは異なるものの、その研ぎ澄まされた肉体や軽やかな身のこなしで、とにかく強そう..に見えて好き。

今回の『スカイフォール』でも、その不死身なまでに強靭な肉体を遺憾なく発揮したアクションシーンは、観客の期待を裏切らない出来栄えである。
「あの鉄道橋の上から撃たれて峡谷に落ちて、さらに川に流されて..何で生きてるんだよ!?」といったツッコミはさて置き、007シリーズでのお決まりアクションは全編に渡り大いに楽しめると断言しよう。中でも、始まった冒頭での"敵"を追ってのアクションシークエンスが実は一番すごくて、一気に引き込まれる。

 

ストーリー的には特段の"ひねり"は見受けられないが、ほどほどにドキドキ・ワクワクが続くスパイ・アクション大作に仕上がっている。

次作『スペクター』で詳らかにされる、クレイグ・ボンドの出自に関するアレが、本作のタイトルにも繋がっていて面白い。
なるほど。もう本作製作時において、次作を作る気満々でいたわけか..。後作から見始めてしまうとこのような気付きもある。

 終盤では、過去のシリーズでもお馴染みのボンド・カー、アストンマーチンDB5も登場して、007マニアも思わず"ニヤリ"の展開に。

007シリーズをあまり知らない層でもそこそこ楽しめると思うが、007ファンにはさらに深く楽しめる要素満載であり、必見の作品と言えよう。

 

私的評価:★★★★☆

 

 

 

31)ナイト&デイ

ナイト&デイ (2010年 米)

 

 トム・クルーズキャメロン・ディアスの二大スター共演のアクション&ロマンチックコメディ。

 

主人公であるCIAの豪腕スパイ、ロイを演じるのはトム・クルーズ。『ミッション:インポッシブル』のイーサン・ハントと若干キャラかぶりしているが、あちらよりも軽薄かつよりスマートな立ち振る舞い。これぞトム・クルーズを置いて他に誰がやるの?と思えるほどのハマリ役。イメージにぴったり。

アクション俳優としてもはや円熟の域に達しているトムのスタントアクトがたっぷり楽しめるのが一番の見どころか。

トム・クルーズと言えば個人的にはバイクアクション。スペイン・セビリアの街中を真っ赤なドゥカティモタードにキャメロンを乗っけて疾走するシーンは、掛け値なしにカッコいい絵図だ。欲しいな、このバイク、と余計なことが頭をよぎる。

 

相手役のキャメロン・ディアスもその愛らしいすっとぼけキャラを全面に出した自然な演技で好印象。キャメロンじゃなきゃただのイヤミに見えてしまうようなオトボケっぷりが笑いを誘い、ロマンチックコメディとしての体を保っている。

 

全編に渡りどこかで見たことのあるような展開と言えなくもないが、適度に質の高いアクションとテンポよくまとめられたストーリーにより、気負いなく楽しめる娯楽作品に仕上がっている。これぞまさしく「ザ・ハリウッド映画」

ただ、ここまでテンポよくバランスのとれたアクション映画はハリウッドでも意外と希少かもしれない。

一見すると大物スターを起用しただけの話題先行型の作品のようだが、実は細部までよく練られて作られている印象を持った。

 

脚本も基本ハッピーエンドで、最後まで気持ちよく鑑賞できた。一方で、見終わった後に何も残らない感じは拭えない。でも、そういう2時間がたまにはあってもいい。

 

私的評価:★★★★☆

 

 

 

 

30)サウスポー

サウスポー  (2015年 米)

 
ジェイク・ギレンホール主演のボクシング映画。
まさに"王道"という言葉が相応しい。どこも外すことなくボクシング映画のセオリー通りに物語が進む清々しいほどのド定番展開。
つまり、幼少期の苦境(施設育ち) → ボクシングで成功をつかむ → 妻の不慮の死により全てを失う → 新しい師との出会い → どん底からの復活 → そして・・・
脚本的には何の工夫も見られない、既視感たっぷりのストーリー。
 
でも決して嫌いじゃない。何だかんだ言ってもエンターテイメントとしては面白い。だからこそ何度でも題材にされると想像する。
負け犬からの復活劇、そして最後に待ち受ける極上のカタルシス...やはりエンタメ映画はこうでなきゃ…とつくづく思う。
「あ~、いつものマンネリボクシング映画か~」と思いながらも、ラストで泣いてしまった自分がいる。
予定調和だの、定石通りだの、どんなに揶揄されようとも、やっぱり興奮するんだよね。
制作側もその辺りを百も承知のうえで作ってきているのがなおさら悔しい。
 
さらに、これまで「ライトヘビー級のボクサー?? イメージじゃない」と感じていたジェイク・ギレンホールの鬼気迫る憑依演技と、圧倒的リアリティーで迫ってくるボクシングシーンがより一層の興奮を呼び起こすのだろう。
この作品のために肉体改造を果たしたギレンホールのムキムキボディで襲いかかるファイターの姿と、それとは対照的などことなく寂しげで弱々しい普段の表情の演じ分けが素晴らしい。
「これマジに顔殴ってもらって作ったんじゃね?」と思わせるような常に充血し傷んでいる左目であったり、血を吐く場面でドロッとしたいわゆる鮮血じゃない描写など、細かいところでの拘りも好印象。
試合のシーンでは、例えば身体を叩くパンチが、この手の映像作品にありがちな重い"ドス、ドス"というわざとらしい音ではなく、意外と軽めな"ペシ、ペシ"という効果音をもって、より臨場感あふれる仕上がりになっている。
 
そしてなんと言っても、女性やお金、はたまた名誉のためといった動機ではなく、とにかく娘との絆を取り戻すために戦うという主人公の信念が、同じ年頃の娘を持つ身としてはツボにハマってしまった。
実にあざとい。もうこれだけでワタシにとってはお腹いっぱい、号泣路線まっしぐらである。
 
ただ、タイトルの「サウスポー」というネーミングにはちょっと首をひねる。これは邦題だけなのかと思ったら、原題も「Southpaw」だった。
実際映画の中では、サウスポー?それだけ?というのが率直な感想。作中「サウスポー」は最後に取って付けたように触れられるだけで、この映画の本質を全く表現してない。そこだけは外された感じであった。
 
私的評価:★★★★☆
 

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29)Ray/レイ

Ray/レイ (2004年 米)


言わずと知れた盲目の天才ミュージシャン ”キング・オブ・ソウル”こと、レイ・チャールズの伝記映画である。
レイ・チャールズに関しては、いくつかのヒット曲は知ってはいるが、さほど熱心に聴いたことはないし、何を隠そう彼の音楽に初めて触れたのは、ラジオやレコードではなく映画の中だった。

1980年制作のジョン・ランディス監督の『ブルース・ブラザース』にチョイ役で出演しており、ジョン・ベルーシダン・エイクロイドとの熱のこもったパフォーマンス・バトルは今でもよく覚えている。
私と同年代くらいの人たちの中では、この映画でレイ・チャールズを認識した人、意外と多いんじゃないか?と推察する。
いずれにしても、鑑賞前のレイの知識としてはそんな程度だった。

物語は、レイが17歳の時に南部の故郷を離れ、音楽で一旗揚げようとシアトルにたった一人移住するところから始まり、人種差別、盲目という二重のハンデキャップを背負いながらも成功への階段を駆け上がっていく姿が描かれる。
それらハンデキャップに加えて、幼い頃に自らの不注意から弟を事故死させてしまうというトラウマにより、以降苦悩し続けることになるのだが...。

伝説的ミュージシャンの若き日のエピソードが淡々と繰り広げられていくが、「サクセス・ストーリー」として簡単に片付けられない波瀾万丈の人生が垣間見える。
例えば、自身の苦悩から逃れるために、ある程度成功し家族を持ってからもなお、女性、そして麻薬に溺れていくレイの人生の負の部分もきちんと描かれている。

152分という非常に尺の長い映画だが、不思議とダレることなく鑑賞できる。
伝記映画と言うと、ストーリーが冗長になったりで途中で飽きてしまうことも多々あるが、幼少期の母との思い出がフラッシュバック的に挿入されたり、そして何より、ライブ会場やスタジオでのパフォーマンスとして、その時代時代のレイの代表曲が披露されるので、この手の音楽好きには時間がたつのを忘れるくらい楽しめる。

尚、この母との回想シークエンスは、よく晴れた屋外でのシーンが多用され、心なしか現在の場面よりも明るく美しい映像に仕上がっている。
過去の回想シーンとなると普通なら色調を落として表現したくなりそうなものだが、レイがまだ視力を失う前の"視界"という意味も込められているのか、あえて現在のシーンよりも明るいトーンにして対比させているように感じた。
これは、ラストでレイが麻薬やハンデを克服する際に見える幻覚への伏線にもなっていて興味深い演出である。

本作の多くのレビューにある通り、レイ役に抜擢されたジェイミー・フォックスの"憑依"演技につきる映画でもある。
レイ・チャールズの若い頃とジェイミー・フォックスは、よく見比べてみると素の顔自体はそんなに似てないと思うのだが、ジェイミーがピアノの前に座り、あの肩を強張らせる独特の奏法で曲を弾き始めると、レイ・チャールズそのものに豹変する演技力は素晴らしいのひと言。

元々ミュージシャンであるが故に、ピアノの演奏もボディダブルなど使わずジェイミー自身が全て演じているそうだが、これが作品のリアリティーに寄与しているのは間違いない。
特に、やや上方を向き口を半開きにして微笑する仕草は、まさにレイ・チャールズそのものにしか見えない。アカデミー賞主演賞獲得も納得の演技だ。

2004年、この作品の完成を待つことなくレイ・チャールズは他界してしまう。
まだ映画の余韻が残っているうちに、レイの苦悩や葛藤、そして人生の全てが込められた珠玉の名曲たちを改めて味わいたくなった。

私的評価:★★★★★

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