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映画鑑賞備忘録

突然ですが、最近は映画館に行ける余裕もあまりなく... 主にTVで観た旧作映画の感想など思うがままに書き綴っています...。

45)アルゴ

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アルゴ (2012年 米)

 

この年のアカデミー賞・作品賞に選出された話題作。ベン・アフレック監督、主演作品。

 

本作は、1979年に実際に起こったイランでの「アメリカ大使館占拠事件」をテーマにしているポリティカル・サスペンス。
イスラム反米デモ隊による米大使館占拠の混乱に乗じてうまく逃げ出した6名の外交官は、秘密裏に近くのカナダ大使公邸に身をひそめていた。
CIAとカナダ政府は、「アルゴ」という架空のSF映画をでっち上げて、6名をその制作スタッフに偽装させ、イラン国外へ脱出させる作戦を実行することになるが…。

 

"事実は小説より奇なり"と言うが、本当にこんなおかしな作戦を大真面目に実行したのか、という事実にまずびっくり。

どうせならこの「脱出劇」に重きを置いて、思いっきりエンターテイメントに振り切った映画にもできたはずだが、本作はそういったサスペンス・アクション要素はやや控えめに作られている。題材が題材だけにその辺りには配慮し、どちらかと言うと、事実を淡々と、そしてその時の当事者の感情の動きを丁寧に描き出している印象だ。

ただそこは映画の世界なので、作戦実行直前に突如中止命令が出たり、テヘランの空港で足止めされたり、イスラム革命軍に追っかけられたり、といった"見せ場"も多少は盛り込まれていて飽きさせない展開にはなっている。

 

ベン・アフレックは、過去の『アルマゲドン』や『パール・ハーバー』といった娯楽大作とは異なり、自らメガフォンを取った本作では、俳優としてはやや"抑え目"に見える。

実在のCIA工作員がモデルとなっている関係か、顔面に髭をたくわえ、感情をほんとんど乱すこともなく冷静な演技に終始。最初にスクリーンに登場した時に「誰!?」と思ってしまったほどに、それまでのベンの印象とは違って見えた。歳を重ねたせいもあるが、渋い役者になったものだ。

 

また、70年~80年代当時のファッションや世俗感を忠実に再現していて、当時へのリスペクトが伺える面も好印象だった。「あー、あの頃のアメリカ人は(映画の中で)こんな洋服で、こんな眼鏡かけてたな~。」といった懐かしさもある。

エンディングにおいて、今回演じた役者と実際の当事者の写真が交互に映し出され、かなり本人たちに容姿を似せていたことに最後に気がついた次第。

 

やや気になるのは、そこはやはりアメリカ映画なので、"アメリカ寄り"に作られていることか。

イランの歴史的、宗教的背景にはあまり触れられておらず、必要以上に野蛮なイラン人、良識あるアメリカ人として描かれている気がしなくもない。

もしイラン人が作ったら、同じ題材でも全く違う解釈をした映画になるだろうことは容易に想像できる。

どっちの国が正しい、正しくないはそれぞれの立場で様々な意見があると思うが、この作品がオスカーを取ってしまうというところに、アメリカという国の現状が透けて見える。

 

私的評価:★★★☆☆

 

アルゴ (字幕版)

アルゴ (字幕版)

 

 

 

44)東京上空いらっしゃいませ

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東京上空いらっしゃいませ  (1990年 日本)

牧瀬里穂中井貴一が出演する、今は亡き相米慎二監督作品。相米監督と言えば、『セーラー服と機関銃』『ションベン・ライダー』『雪の断章』など、当時劇場に足を運んだ作品は数知れず。

特別好きだったというわけではないが、80年代から90年代にかけて、演技に不慣れなアイドル女優たちをうまく料理してくれる作品が多く、興味をそそられた監督である。

 

本作は劇場でこそ観ていないが、相当昔にビデオで一度観ていて、先日BSプレミアムの番組表で見つけて、あまりの懐かしさに即録画予約した。

デビュー間もない牧瀬里穂がとにかく初々しい。拙いセリフ回しやちょっとヤケクソ気味の演技は多少鼻につくものの、その清々しさ、溌剌さで何だか許せてしまう。

 

ストーリーとしては、タレントとして売り出し中だったユウ(牧瀬里穂)が不慮の事故で死んでしまうが、自分の死を受け入れられず、天使のコオロギ(笑福亭鶴瓶・二役)を騙して、自分の姿で舞い戻ってくる、というゴースト・ファンタジー。

ファンタジーという特性ゆえか、相米監督お得意の「長回し」撮影はこの作品においてはやや控えめな気がするが、それでも遠くから時間をかけてゆっくりと人物にズームしていくカットや、カメラを固定しておいて画面の外側から突然割り込んでくる人物など、その独特な映像手法は健在だ。

 

さらに音楽面で言うと、この映画は井上陽水忌野清志郎の共作による名曲「帰れない二人」なしには語れない。

歌い手を変えた様々なバージョンが、何度も印象的なシーンで流れてくる。憂歌団のヴォーカルの人や加藤登紀子のバージョンが流れたりするので、気を緩めないように(笑)。

中でも、ラスト近くのジャズ・バーで、中井貴一が吹くトロンボーンに合わせて牧瀬が「帰れない二人」を歌い、そして踊るシーンは本作のクライマックスだ。

この世との別れを決意し、悲壮感や切迫感といった様々な感情を開放していく二人の「帰れない二人」が心地よい。
内容的にはかなり切ないお話なのだが、鑑賞後は爽やかな気分になれる、そんな映画だ。

 

最後に、もう25年以上前の映画だから仕方ないのかもしれないが、相米監督はもとより、出門英谷啓、おヒョイさん..など、既に他界された方が何人か出演していて、別の意味で感慨深かった。

 

私的評価:★★★☆☆

 

東京上空いらっしゃいませ [DVD]

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43)コラテラル

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コラテラル (2004年 米)

トム・クルーズジェイミー・フォックス共演のサスペンス・アクション映画。


すごく簡単にあらすじを書くと、凄腕の殺し屋であるヴィンセント(トム・クルーズ)が、マックス(ジェイミー・フォックス)が運転するタクシーをひと晩貸し切り、計5人を殺して回るための送迎をさせる、というお話。

 

似たような時期に、シュワルツェネッガー主演の『コラテラル・ダメージ』という米映画があり、恥ずかしながら最近まで本作とまともに区別がついていなかった。この度よくよく二つの作品を見比べてみて、全く異なる映画であることが判明!(そりゃそうだ、のツッコミはご勘弁..)

 

コラテラル(Collateral)とは、「(不運な)巻き添え」という意味があるらしい。シュワちゃんの映画の方は、「テロでの副次的な巻き添え被害」というものだった。

本作の場合は、「(殺人事件の共犯として)巻き添えになる」といった意味になると思うが、真面目さだけが取り柄のタクシー運転手が、理不尽極まりない犯罪に無理やり付き合わされるという、取っ掛かりとしてはなかなかのアイディア。

ただし、いかんせん突っ込みどころが多すぎて、いま一つリアリティーに欠けるのが残念だ。
凄腕のはずの殺し屋が、一人目を殺す際に、いきなりターゲット(死体)をマンションの窓から下に落っことすという大失態をやらかす。そもそも、何人も殺して回るのに何でタクシーを運転手ごと貸切る必要があるのだ?自分で車でも調達して回った方が危なくなくね?とか、冷静に考えてみると、いくらなんでも場当たり的、やることなすこと犯罪発覚リスクが高くてとてもクールな殺し屋に思えないのである。
さらには、マックスにターゲットの情報が入ったPCを捨てられて、殺しの依頼主に情報のコピーをもらいに行かせるくだりなんて、もうギャグかと...。

 

そんな一見ちょっと抜けている感じの殺し屋なのだが、これがトム・クルーズが演じると超絶クールに見えてきてしまうである。これはひょっとして凄いことではないだろうか。
アクションのキレやその動きのしなやかさ、華麗なガンさばきなどは、さすがは稀代のアクション・スターである。もはやこれを見るだけでもこの映画の価値はあるとさえ思える。
おそらく、並みの俳優が演じたならば、そのまま"お間抜け"に見えてきたはずである。

 

一方、不運なタクシードライバーを演じるジェイミー・フォックスだが、夢ばかり見ていて本当にやりたいことをなかなか実行に移せない、という典型的な"善良小市民"からひと皮むけ、文字通りの「コラテラル」を通じて強く変わっていく心の動きを自然に演じていて、こちらもなかなかの好印象であった。
(この備忘録でも以前記事を書いた)オスカーを受賞した『Ray/レイ』と、この『コラテラル』の公開は奇しくも同じ2004年だったようで、彼にとってこの年は非常に濃密な一年だったのではないだろうか。

 

私的評価:★★★☆☆

 

コラテラル (字幕版)

コラテラル (字幕版)

 

 


 

42)シャッター アイランド

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シャッター アイランド (2010年 米)

巨匠マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演のミステリー映画。


この二人のタッグは一体この作品で何作目なんだろうか..?と迷うくらいによく二人で組んで映画を作っている印象がある。
アビエイター』『ディパーテッド』はよく覚えているけど、どちらもかなり重苦しい内容だったよなあ..。
ただスコセッシの映画は、どの作品においても、重苦しい雰囲気の中にも描くものは常に「人間」であり、心に刺さる作品が多い。時として目を覆いたくなるようなリアルな暴力描写もままあるが、個人的には好きな監督だ。


本作も重苦しいテーマに変わりはないが、先の2作品とやや趣が違うのは、序盤からいくつかの謎が提示され、それが終盤に向かってどう回収されていくのか?という楽しみのある、いわゆる"どんでん返し"系の映画であると喧伝されていたことか。

 

時代は第二次世界大戦の残滓も色濃く残る1950年代、連邦捜査官のテディ(レオナルド・ディカプリオ)は、ボストン沖にあるシャッターアイランドと呼ばれる孤島の精神異常犯罪者の収容施設を訪れる。

この島で行方不明になった一人の女性患者を捜索するという名目だったのだが... 心に深い傷を持つテディには実は当初は隠していた真の目的があった・・・というのがあらすじになる。

途中頻繁にテディの幻想(妄想?)がフラッシュバック的に挿入され、過去に何があったのか?が、初見ではとても分かりづらい。ここで、今は亡き妻の幻影に惑わされることになるのだが、この描写が、最近観たディカプリオ主演の別作品『インセプション』と頭の中でオーバーラップしてしまって、余計に混乱した。
スコセッシの作品はどれもそうだが、気を緩めて見ていると付いて行けなくなることがあるので、多少の注意が必要かもしれない。

 

この手の映画に見慣れた方なら中盤くらいでオチが何となく分かってしまうのはご愛嬌だが、オチが読めてもラストが気になる展開はさすがの演出力。リアルで重厚な映像と芸達者な俳優陣のおかげでダレることなく最後まで画面に引き付けられる。
オチが途中で読めてしまったので、最後は「完全にスッキリ」という訳にはいかなかったものの、「ああ、なるほど」くらいの納得感はある"読後"だ。

 

それにしても、レオナルド・ディカプリオはいい役者になったなぁと改めて実感した。
最近、『華麗なるギャッツビー』や前述の『インセプション』さらには『ブラッド・ダイヤモンド』あたりを立て続けに観たんだけど、どれもその役柄への"なりきり"振りに圧倒される印象。
ディカプリオを初めてスクリーンで認識したのは確か『ギルバート・グレイプ』だったと記憶するが、この子本物の知的障がい者では?と思わせるくらいにハマっていたのを思い出す。それを考えると、既に10代の頃から別格の役者だったということか。

 

私的評価:★★★★☆

 

 


 

41)ニューヨーク1997

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ニューヨーク1997 (1981年 米)

この映画、ずいぶんと昔に観た記憶はあるのだが、内容をまるで覚えてなく、先日たまたまBSプレミアムで放映していたので鑑賞してみた。

ジョン・カーペンター監督とカート・ラッセル主演の黄金コンビによる近未来アクション・ムービー。近未来といっても、今となっては遥か昔、タイトル通り1997年のニューヨークが舞台となっている。

特にすんごいガジェットだったり、きらびやかな街並みだったりが出てくる訳でもなく、81年にリアルタイムで見ていたとしてもあまり"未来"は感じないよなぁ..と思える作風。

 

ジョン・カーペンターといえば、『ハロウィン』や『遊星からの物体X』など、どちらかといえばホラーっぽい作品が得意なイメージがあるが、こういったサスペンス/アクション物もそれなりに面白い。

余談だが、『遊星からの物体X』を初めて観たときはホントに衝撃的だった。とにかく「スゲー!!」な映画だったな。"物体X"のあのグロテクスで独創的な造形に度肝を抜かれたのをよく覚えている。

 

翻って本作だが、まず、ニューヨークに犯罪者が増えすぎてもう面倒くさいからマンハッタン島全域を封鎖して丸ごと監獄にしてしまえ!という設定がユニーク。
大統領を乗せたエアフォースワンがハイジャックされ、監獄島と化したマンハッタンのビル群に突っ込むというくだりは、本作公開のちょうど20年後の「9.11」を想起せざるを得ないシーンであろう。

しかも、カートラッセル演じるスネーク・プリスキンが、大統領救出の任務を帯びてグライダーに乗って潜入するのが、その9.11で倒壊した世界貿易センタービルというおまけ付きだ。何か暗示めいたものを感じてしまうのは私だけではないはず。

 

犯罪者の手に落ちたVIPを単身救いに行くというのは、今となっては手垢の付いたプロットにも思えるが、ひょっとしてこの映画が"はしり"だったりするのかもしれない。

つい最近『ワイルド・スピード』シリーズの最新作で久しぶりに見たカート・ラッセルは、さすがに老けたなぁ..と思わずにはいられなかったのだが、この映画では、当然のことながら若々しくてクールなカート・ラッセルに会える。

ただし、昨今の『ワイルド・スピード』や『ジェイソン・ボーン』シリーズなどのハイテンション・アクションに見慣れた目で見てしまうと、いかんせんアクションの一つ一つやストーリー展開そのものがスローモー。
場面の繋ぎなどのカメラワークがブツ切れに感じられ、それらがB級映画感を醸し出している原因のひとつかと思えるほどだ。

また、スネーク・プリスキンは、24時間以内に大統領を救出して帰って来ないと、頸動脈に注射された小型爆弾が爆発してしまう仕掛けを施されるのだが、「もう時間がない!!」といった緊迫感があまり画面から伝わってこない。故に観る側としてもテンションが長続きしないのが惜しい。80年代当時の予算規模の小さいアクション映画の限界が見えてしまうところである。

 

とは言っても、その世界観や設定のアイディアなどは決して悪くなく、共演陣もなにげに豪華で驚いた。
以前観たときは、それこそカート・ラッセルしか認識できなかったのだが、今改めて見直すと、警察側のボス役は、往年のマカロニ・ウェスタンで渋い悪役を演じていた、名優リー・ヴァン・クリーフ
さらに、捕まった米国大統領をややコミカルに演じているのは、なんと『ハロウィン』シリーズのルーミス医師役でお馴染みの名バイプレーヤー、ドナルド・プレザンスではないか!

 

ややもすれば"カルト映画の巨匠"とも揶揄されるジョン・カーペンターだが、私は彼の作品群は決して嫌いではない。むしろ好き。
最近このクリエイターの作品をあまり聞かなってしまって久しい気がするが、願わくば潤沢な資金と最新の技術を使って、ぜひニューヨーク1997のような新作を期待したいところだ。

 

私的評価:★★★☆☆

 

ニューヨーク1997 [DVD]

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40)オール・ユー・ニード・イズ・キル

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オール・ユー・ニード・イズ・キル (2014年 米)

 

日本人作者のライトノベルを原作としたSF・アクション映画。
トム・クルーズ主演。監督は、『ボーン・アイデンティティ』シリーズをヒットさせた実績を持つダグ・リーマン

 

地球侵略にきたエイリアンとの戦闘において、なぜか死んでも死んでも甦って出撃前にリセットされるという、いわゆる「タイムループ」がテーマとなっている。

そんな出来の悪いロールプレイングゲームのような設定でも、過去のトム映画同様のドキドキワクワクを与えてくれるのか..?若干の疑念を抱きつつの鑑賞となった。

ところが、そんな疑念も杞憂に終わり、稀代のアクション・スター+緻密に練られた脚本のおかげで、トムのフィルモグラフィーの中でも指折りの作品に仕上がっていると断言できる。

イムループ物にありがちな分かりにくさや冗長さといったものはほとんどなく、繰り返しの場面も適度に省略したりといった小気味よいテンポで、最後まで飽きることなく楽しめる。

 

いかにも日本風な趣向の原作と本作とでは内容的にかい離しているとの評価も散見されるが、これ単体で見ると、どこをどう切り取ってもTHE・ハリウッド映画。

原作の大まかなプロットを継承しつつ、万人受けするツボを心得た演出により、うまく娯楽大作として昇華させることに成功している。

 

冒頭での主人公は軟弱で臆病者であり、いつもとはどこか違うトム・クルーズ氏で物語は始まっていくが、文字通りの死線を繰り返すうちに段々と戦う男の表情になっていく様が見どころの一つ。
生死のループを繰り返す中で、行動面あるいは感情面に変化をつけなければならない、という難しい役どころを見事に演じている。

そして違和感なくヒーローへと昇りつめるトムの相棒となる女性兵士、リタ・ヴラタスキを演じるエミリー・ブラントも素晴らしい。
こちらもいつもとはかなりイメージが違う、マッチョでストイックなヒロインを熱演している。何年か前にあの「ヴィクトリア女王」を演じていた人と同一人物とはとても思えない。とにかくカッコいい。

 

この作品のタイトルを意訳すると『殺しこそすべて』。言わずと知れたビートルズの名曲タイトルをもじったものと思われる。

元ネタになったビートルズ楽曲は、フランス国歌のイントロでつとに有名なわけだが、この作品でラスボスとの対決の舞台となるのが、パリ・ルーブル美術館にあるガラスのピラミッドの下という"小ネタ"に感心。
と、ここまで書いてきて、本国では原作とは違う『Edge of Tomorrow』というタイトルで公開されたことを知る。こうなると、このロケーションが計算されたものかどうかは知る由もない。

 

結末としては、ハリウッド的ご都合主義が垣間見え、初見では思わず「ええっ!?」であったが、トム・クルーズが故に不思議と嫌味には感じられず、これはこれでアリかな..という感想に落ち着いた。

 

私的評価:★★★★☆

 

 

 

 

 

39)ミッション・トゥ・マーズ

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ミッション・トゥ・マーズ (2000年 米)

 

近未来の火星探査を描いたSF・ファンタジー作品。ゲイリー・シニーズ主演。ブライアン・デ・パルマ監督作品。

 

数ある火星をテーマにした映画作品の中でも、監督や出演者の知名度が高く、鑑賞前はかなり期待大だった本作ではあるが、ちょっと肩透かしを食らってしまった、というのがまず正直な感想になる。

とにかく様々なSF、宇宙モノ要素の「ごった煮」感が否めない。
惑星探査チームのエースであった、ゲイリー・シニーズが、(妻の不慮の死により)一人火星探査ミッションに行くことができなくなってしまうのは、『アポロ13』と似たような役どころだし。(アポロ13号でのクルー交代は実話であるが...)
トラブルに見舞われ火星でたった一人でサバイバルを強いられてしまうのは、マット・デイモンの『オデッセイ』。
宇宙空間において、事故った宇宙船を放棄して別の宇宙船に乗り移るくだりは、『ゼロ・グラビティ』を彷彿とさせる。
そして何より、クライマックシーンの火星のアレの内部は、あの『2001年 宇宙の旅』をイメージせずにはいられない。

もちろん『オデッセイ』や『ゼロ・グラビティ』は、本作の後発になるので、決して真似したワケではない(むしろ参考にされた方か)のだが… どうもこれらの作品を先に観ていたせいもあり、何とも言えない"既視感"が漂う。

 

無重力状態の表現や宇宙空間での危機的状況の演出などは、この時代の映画とすればよくできていて素晴らしいものがある。ただ、終盤に向けてファンタジー色が出てくると途端に映像が古臭くなるのが残念だ。例えると、『フラッシュ・ゴードン』や初期の『スター・トレック』あたりに共通した趣と言ったらいいだろうか。
最後にファンタジー色が強くなるのはまあいいとしても、唐突感があまりに強く、もう少しうまくまとめられたらよかったのに、とも思う。
火星へと航行する宇宙船の中でなぜかヴァン・ヘイレンの音楽に合わせてダンスをするシーンに至っては、何かの伏線かとも思われたが、最後まで特に何もなく・・・。

前述の通り、本作のクライマックスは『2001年 宇宙の旅』へのオマージュになっている(?)ものの、あちらほど難解な、観客に解釈を委ねるものではなく、ちゃんと説明してくれるあたりはデ・パルマは優しい。

 

それと本筋とは関係ないが、この映画には日本にゆかりのある小道具がいろいろ出てきて別の意味で楽しめる要素がある。
冒頭ゲイリー・シニーズがパーティーに現れる時に乗って来た車が、かつてのいすゞの名車「ビークロス」のカスタム車だったり、火星で活躍しているローバー(探査車)が、なんと川崎重工製だったり!(白いローバーの横にしっかりとKawasakiのロゴ)
さらには、火星で使っていたコンピューターのモニターにもSONYのロゴがあったりするので、そういう目線で見てみるのも面白いかもしれない。

 

私的評価:★★☆☆☆

  

ミッション・トゥ・マーズ [DVD]

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